72歳で書いた履歴書

72歳の私にアルバイトの話が飛び込んできたのは1ヶ月前だった。今の私は、火曜日から土曜日にランチを提供するカフェのオーナ シェフとして働いている。その話を持ち込んできてくれたのはカフェのお客様で、私の作る料理を気にいって下さっている人だ。

話の内容はこうだった。彼女の親しくしているデイサービスの経営者が、施設でお年寄りのための昼食を作ってくれる人を探している。現在は79歳になる女性が水曜日だけ休みの週6日の勤務でやっているが、高齢で躰がきつくなってきたらしい。その調理員が休めるように、1日でも調理の仕事をしてくれる人が欲しいとのことだ。いろんな人に当たってみたが、献立表なしで、用意された食材を使って1汁3菜を作らなければならないという条件で二の足を踏まれてしまい、やってくれる人がないのだと言う。私なら、そんな条件でも引き受けてくれるかも知れないと思われたそうだ。

初めは、私にはそんな余裕はないと思いながら聞いていたが、献立表が無くて与えられた食材で任されるという所を、面白いと感じた。そして、深くは考えないで、日曜日なら行けると返事をした。それからトントン拍子に事は運び、72歳の私のアルバイトが決まってしまったのだった。

実際に施設に行って1日一緒に調理をさせて貰ったが、調理員の彼女は日曜日に休みが貰えるのは難有いと喜んで下さった。
そこで、施設長の机をお借りして履歴書を書いたという次第なのだ。さて、どんなことになるのか、初仕事は1月第2日曜日だ。新しい事をする前のワクワクする気持ちを、今は楽しんでいる。