彼女ならやるね!

先週の木曜日に、元園児の保護者だったパパとママがランチに来て下さった。私が園長からカフェのオーナーシェフに転身してからも親しくさせて頂いており、先々月はお宅でのホームパーティーのお料理も作らせて頂いた。
ママは、数枚の図面を開きながら、今、自宅のキッチンを取り壊していると話し出した。以前に、家族が増えてダイニングテーブルが小さくなったので、作り付けのデカイテーブルに変えたいと言っておられたことを思いだした。
差し出された図面を見せて貰うと、まるでアイランドタイプのキッチンスタジオのようだ。調理スペースがシンクや作業スペースを取り囲むようにとってあり、一辺には天板より少し下がった位置に棚が取り付けてある。そして、五角形の作業テーブルの、もう一辺はダイニングテーブルとドッキングできるという設計だった。熱源は独立したテーブルに嵌め込まれている。
感想を尋ねられたが、私にはイメージすることさえ難しい…
この大掛かりなキッチンとダイニングのリフォームはママの提案だという。
夫婦でクリニックを経営しているので、5人の子供たちに母として教えたい事が、共有する短い時間ではうまく伝えられないジレンマを抱えているのだと彼女は話す。
ある夜、小学2年の長女がママの耳元で、お料理がしてみたい、と呟いたそうだ。料理好きなママは子供と一緒にいろんな料理をしたいと常に思っているし、食の大切さも伝えたいと思っている。
そこで、ママは思い出したそうだ。以前通っていた保育園でパンやクッキー、パイやおむすびなど作った報告を顔を輝かせて娘が報告してくれたことを。あの、元園長を呼んで、自分と子供たち、ママ友や子供の友達も一緒に料理教室をしよう、と。
何という発想だと感心しつつ、いやいや、私にそんな事をする資格などないと、辞退はした。でも面白そうだと正直、興味をもった。
それで、料理の基本などは教えられないが、料理の楽しさなら私にも伝えられると付け加えてしまった。
ランチが終わられてお帰りになるとき、このプロジェクトは実現させます!と、彼女が言った。
わたしは、実現させる人だと知っております!と、返した。
72歳になったが、またワクワクさせてくれる予感がする。