2歳児の糠漬け

来月で3歳になる、ゆいとクンから保存袋に入ったキュウリの糠漬けを2本貰った。開店準備をしていた私は、うれしくて胸がジーンとした。(せんせいえ ゆいと)と、たどたどしい線をなぞれば読める字も添えられていた。

看護師のママはカフェのお客様で、夜勤明けなどにランチにきてくれる常連さんだ。他にお客様がいない時には、お子さんの話しを聞かせて貰っていた。

ある時、インスタで得意げに糠床をかき混ぜる彼の姿を見付けたので、ご来店の折にそのことを告げたら、彼は小さいながら何とか美味しい糠漬けを作ろうと燃えているという。私は驚きを隠せなかった。私の子供達は糠床を混ぜる場面に出くわすと汚い物を見たように顔をしかめて去っていったからだ。

糠漬けの美味しさがわかる2歳児も凄いが、やはり若いママが嫌がらずにさせてあげていることに感心してしまう。この日の私との会話をママから聞いたことで、彼は私に食べて欲しいと思ったらしい。

その日のわが家の夕食のメインになった、ゆいとクンのキュウリの糠漬けに、晩酌をお代わりしてしまったのだった。

授乳中の女の人が漬け物を漬けると美味しくなると言われる。乳酸菌をたくさん持っている手のせいらしい。2歳児の手にもきっと元気な乳酸菌が住んでいるに違いない。でないと、こんな絶品のキュウリ漬けにはならないだろう。

70歳を過ぎた私の手にはもう、糠漬けを美味しくする魔法は消えていそうだから、せめて呪文でも唱えよう。おいしくな〜れ!