母の願い

先週末、テイクアウトのお惣菜を予約して頂いていたお客様が、閉店ギリギリに取りに来て下さった。彼女は、カフェが保育園だったときの元保護者だった。

その日はご主人のお仕事が休みなので、3歳のお子さんを幼稚園に迎えに行ってくれるから、やっと、お店に来られたのだという。今日は時間にゆとりがあると言われたので、何かお話があるのだろうと思って椅子をお勧めした。

3歳のお子さんは男の子でこだわりがとても強かった。集団生活にうまく馴染めているだろうかと伺ってみると、彼のそのままの姿で認めてもらって、お友達もだんだん理解してくれて来たという。ありがたい環境だと、静かに話された。

 

私は、そうなるまでに母親である彼女がしてきたであろうさまざまな努力を思って、胸が熱くなる。障害を持つ子供の母親は、わが子を受け入れてもらうためにどれほどの心配りと、可能性を見つけるための行動をされるかを知っているからだ。

気が付けば、私たちは2時間も話を続けていたのだった。薄暗くなった窓の外に私が目を移した時、彼女はそっとつぶやいた。

「いつか息子に、この人が母親であって良かったって思ってもらえる日が来るかな~。」

「きっとくるよ!」

そう返した私の目も潤んでいた。